この記事では、毎週、宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」のおススメ舞台映像を感想をまじえて紹介しています。

宝塚歌劇ファンの方・最近宝塚歌劇のことが好きになった、気になるという方向け。

今週【2020年7月6日(月)~7月12日(日)】の注目番組は!

望海風斗さん主演『壬生義士伝』です!

仲間からは守銭奴と言われながらも、故郷の家族に送る金を稼ぐために人を斬り続ける新撰組隊士・吉村貫一郎を繊細な演技で魅せる望海風斗さんの演技力に涙させられる作品です。

この機会に、是非タカラヅカ・スカイ・ステージでご覧ください。

スカステについて詳しくお知りになりたい方は、上記にてどこよりも詳しく視聴方法・視聴料などについて丁寧に解説しています。是非参考にしてください。

簡単に自己紹介しますm(__)m。

・宝塚ファン歴30年のアラフィフおやじです(^^;
・最も青春した生徒さんは安寿ミラさん♪
・舞台鑑賞数が最も多いのは圧倒的歌唱力に魅せられた涼風真世さん♪
・今は礼真琴さん推し。
・学生時代には演出助手の試験を本気で受けたくらい宝塚が好きな人間です(^^;
宝塚歌劇団 演出助手 不採用までの記録

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壬生義士伝(’19年雪組・東京・千秋楽)

【放送日時】
7月 9日 18:30~20:15 / 7月12日 13:30~15:15
7月14日 23:30~01:15 / 7月22日 18:30~20:15
7月27日 13:30~15:15

スカステ番組詳細

作品の概要は、スカステの番組詳細でどうぞ。

浅田次郎氏のベストセラー小説を宝塚歌劇で舞台化。新選組の名だたる隊士が一目おいた田舎侍・吉村貫一郎のひたむきな生き様を描く。脚本・演出は石田昌也。’19年雪組・東京宝塚劇場・千秋楽。望海風斗、真彩希帆、彩風咲奈 他。幕末、南部藩の下級武士として生まれた吉村貫一郎(望海)は、貧困にあえぐ家族を救う為に妻・しづ(真彩)を残して脱藩し、新選組隊士となる。朴訥な人柄でありながらも北辰一刀流免許皆伝の腕前を持つ貫一郎は、金の為、ひいては盛岡に残る妻子の為に危険な任務も厭わず、人を斬り続ける。しかし時代の流れには逆らえず、新選組は鳥羽伏見の戦いで敗走。隊士達が散り散りとなる中、深手を負った貫一郎は何としても故郷への帰藩を請うべく大坂の南部藩蔵屋敷へと向かうのだが、そこにいたのは出世し蔵屋敷差配役となった竹馬の友・大野次郎右衛門(彩風)だった…。

タカラヅカ・スカイ・ステージ

めずらしく、とても分かりやすい番組詳細です(笑)。

主な出演者

幕末ロマン『壬生義士伝』の主な出演者です。

吉村貫一郎

望海 風斗
しづ/みよ

真彩 希帆
大野次郎右衛門

彩風 咲奈
松本良順

凪七 瑠海
斎藤一

朝美 絢
土方歳三

彩凪 翔
沖田総司

永久輝 せあ
みつ

朝月 希和
大野千秋

綾 凰華
みつ(少女)

彩 みちる
吉村嘉一郎

彩海 せら

『壬生義士伝』ちょい感想

私は26年間、芦屋市の某塾に勤めていましたのでJR芦屋駅を利用していたんですね。

毎日、JR芦屋駅隣接のショッピングモール「ラポルテ」及び「大丸芦屋店」をぶらりしてから出勤というルーティンだったのですが、ある日『壬生義士伝』演出のちょび髭をはやした石田先生をラポルテで見かけたことがあったんです。よっぽどお声をかけようかと思ったのですが、特に好きな先生ではなかったので(苦笑)、やめておきました。

だから?(笑)。

オープニングは朝美絢さんの斎藤一に目を奪われる。

斎藤一といえば、早霧せいなさん主演の『るろうに剣心』では彩風咲奈さんが演じられていた役。

近年では、アニメ版の斎藤一と佐藤健さん主演の同名映画での斎藤一役・江口洋介さんの長身で鋭い眼光を持つ男というイメージが強いですね。

『壬生義士伝』での斎藤一役は朝美絢さん。

朝美絢さんは、169cmと公表されているので小柄というほどではないですが少し華奢なのでどうかなと思っていたのですが、シャープな立ち姿と堂々たる振る舞いはなかなかどうして素晴らしいじゃありませんか!オープニングの緩い雰囲気の中、ぐっと新撰組の世界に引き入れる力のこもった演技に脱帽しました!

吉岡の妹、朝月希和さんがかわいい

オープニングの鹿鳴館から吉村貫一郎登場の回想シーンへと移す役目を果たしているのが、大野次郎右衛門の息子・大野千秋と結婚した吉村貫一郎の娘みつ。斎藤一に父である吉村貫一郎のことを尋ねるのですね。

その吉村貫一郎の娘役みつを演じていたのが朝月希和さん。父親のことを誇りに思う芯の強い女性を好演。なかなかかわいくて私好みなのでちょっと触れてみました(^^;。

ちなみに現在は花組へ戻られていますね。

いよいよ、主役二人の登場

吉岡・望海さんがしづ・真彩さんにプロポーズする場面から始まりますが、正直、この場面ではいじらしくてかわいい真彩さんにしか目がいきませんでした。ほんとに守ってあげたいと思っちゃう♪

望海さんのしづに対する思いや優しさはすでに全開ですが、まだ平和すぎておとなしい。

竹馬の友・彩風次郎右衛門

大野次郎右衛門・彩風咲奈さんは吉岡と竹馬の友ではあるものの、盛岡藩のえらいさんになっちゃうわけですよ。この話の最期には、蔵屋敷の責任者にまでなっちゃうんですよね。

二人が親友であることは最初の登場、脱藩する時に手形を渡す、最後に切腹を命じる、そしておにぎり…と非常に分かりやすい。

ただ、なんて言ったらいいのか全体の話の流れの中でポツポツとしてしか登場しないので、二番手としてはなんとなく中途半端な役だなという印象。

彩風さんは申し分のない演技で場面を締めてくれるのですが、演じるのは難しかったんちゃうかなぁと見ていて感じました。

しづ役も難しいというより出番自体が少ない

しづを演じる真彩さんはとにかくかわいい。それだけで十分なのですが、義母が亡くなったのを自分が子を宿したからと身投げしたり、大事なかんざしを売りに出させたり、最後までかわいそうなままで終わってしまいましたよ。

もちろん、吉岡・望海さんが南部を去る場面で歌う「石を割って咲く桜」など望海さんと歌う場面はあるのですが、もっと吉岡・望海さんをずっと慕っている、待っているという思いが伝わるベタな場面があっても良かったのではないかと。生きていくのに精いっぱいでそんな余裕はなかったのかもしれないけれどもですが。

吉岡・望海さんは「義」のために人を斬り続ける

この「義」というのは一般的には武士としての「義」を思い浮かべるので、深手を負った吉岡・望海さんが最後に次郎右衛門の館に身を寄せるのがピンときませんでした。

ひとり新政府軍に潔く立ち向かっていった後だったがために余計にね。

で、公式サイトの石田先生新田次郎さんの対談を読んでやっと腑に落ちました。

江戸時代、侍は儒教道徳の下にあり、主君に対して忠義を尽くすことが“義”であるかのようにも思えますが、孔子の教えでは「人として踏むべき正しい道」が“義”なのです。この孔子が唱えた定義を、吉村貫一郎は自分自身に問いかけます。自分にとっての“義”とは何か。答えは、「妻子を食べさせること」だったんですね。「壬生義士伝」はこのテーマから始まっています。だから“義士伝”なのです。

宝塚歌劇公式サイト

そう、吉岡・望海さんはとにかく家族に送るお金のために、ただそれだけのために人を切り続けます。斎藤一をもゆすって20両巻きあげます。

その姿に観客も失笑しますが、一方で望海さんからは悲痛なまでの家族への思いが全身からにじみ出ているのですね。もうこれは一貫しています。吉岡・望海さんは本当にただそれだけのために生き抜いた人物ですね。雑魚な仲間からは滑稽な人物に見られ、守銭奴と言われ続けるわけですが、その吉岡・望海さんの“義”を理解する土方や斎藤、沖田総司らからは認められる。

そして、私たち観客にも吉岡・望海さんの家族への思いが実は深く伝わっているのですね。最初から最後まで望海さんが伝えていたのですよ、全身全霊を尽くした繊細な演技で。

だから、もう理屈なしで泣けるんですね。

瀕死の状態で次郎右衛門のもとへ行ったのも家族のためなわけです。

で、最後の場面。望海さんの演技がこれでもかとばかりに胸を打つうえに、しづ・真彩さんが「面影~」と歌いながら銀橋を渡ってくる。これは泣かせにくる演出の王道ですが、まんまとやられて舞台が見えないくらい涙があふれて…、

とどめは彩風さんの「貫一、食え、食わんかぁ」…。

役者・望海風斗さんの凄さに感服

他の生徒さんのことは今回はもう書きません。いや、書けません。

この作品が成立したのは望海風斗さんの演技力があったからですね。

もちろん中途半端に書かれた難しい役を演じきった彩風さん、新撰組の中でひときわ輝いていた朝美さん、母親としてけなげに生きる様がせつない真彩さん、土方・彩凪翔さん、沖田・永久輝せあさんらも存在感を示し、みんなすごい。

でも、見終わった後、確かに心に残っているのは望海さんの吉村貫一郎という人物だけなんです。

吉村貫一郎が、有り金を数えて「これで嘉一郎の袴を…、これでみつの雛飾りと…これでしづの帯…、これは抱くことも出来なかったわらしの肌着…なんとか足りるか」という最後の姿が目に焼き付いて離れないんです。そして、思い出すだけで涙が出る。

今回の感想はここまでです。書きながらも涙があふれてくる…。

望海風斗さんの吉村貫一郎、私は一生忘れません。

いや、しかし凪七瑠海さんの扱いひどくないですか?凪七さん出る意味あったのかなぁ?

雪組『壬生義士伝』 まとめ

「石を割って咲く桜」は名曲だと思います。

雪組『壬生義士伝』は、新田次郎さん原作の小説を石田先生が脚本・演出として上演した幕末ロマン。

中井喜一さん主演で映画化もされていますが、望海風斗さんは名優・中井さんに勝るとも劣らない素晴らしい演技で泣かせてくれる感動作となっています。

日本物は苦手だなという方もいらっしゃるとは思いますが、是非先入観なしに望海さんを追って見ていただければと思います。

望海風斗さん主演・雪組『壬生義士伝』はBlu-ray/DVDも発売されています。

が、Blu-ray/DVDを購入するくらいならタカラヅカ・スカイ・ステージに加入してダビングされたらよいかと。タカラヅカ・スカイ・ステージもハイビジョン放送なので画質はよいですよ。

どうしても購入したいという方は、ネットでお得に購入してくださいね♪

今回はここまでです。