中学校の定期テストで『平家物語(扇の的)』はどんな問題が出題されているのか気になる方へ。
中2の教科書で取り上げられている『平家物語』は、冒頭部分と「扇の的」「敦盛の最期」などを学習することになります。
この記事では、『平家物語』の「冒頭部分」部分と「扇の的」の過去問・「扇の的」現代語訳を紹介しています。
定期テストの参考にしていただければ幸いです。
※サーバー負荷の関係で画質を落としてUPしています。どうぞご了承ください。過去問の文字は小さいのでPCでは表示サイズを拡大してご覧ください。
・芦屋市で26年間、小中学生を対象の学習塾で文系科目を中心に指導
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もくじ
中2『平家物語』過去問と現代語訳(全訳)
中2で学習する『平家物語』の、「冒頭部分」と「扇の的」の過去問です。
「冒頭部分」
2校分横並びで紹介しています。
【右側の問題:解答】
あ 諸行無常
い 盛者必衰
う 鎌倉
え 軍記
お 無常観
か 武士
き 和漢混交
く 琵琶法師
【左側の問題:解答】
問1 ➀ 諸行無常 ② 春の夜の夢
問2 a 鎌倉 b 軍記
「冒頭部分」は、暗記してくる課題が出されることが多い部分です。完璧に暗唱できるようにして平常点を稼ぎつつ、定期テストで( )問題が出た時にも対応できるよう漢字とセットで覚えておきましょう。
「扇の的」その1
【解答】
問1 かぶらは~がりける / 沖には平~めきけり
問2 ひいふっ(と) / ひょうふっ(と)
※「現代仮名遣いで」という指示に注意。擬音語は「と」まで入れるかどうかが、先生の指導によりますのでしっかり確認しておきましょう。
問3 ②小兵とはいいながら ⑨言ったので
問4 ③キ ⑥エ ⑦ウ ⑩ア
問5 与一が扇の的に矢を当てたこと。
問6 イ
問7 舞を舞う男を射よという命令。
問8 与一の弓に腕前に感動して舞を舞った男を射殺したことに対して、非情だと思う気持ち。
「扇の的」その2
【解答】
問1 a ゆりすえ
b はずさせたもうな
c いうじょう
問2 A カ B エ C ウ
問3 これを仕損
問4 係り結び
問5 ひいふつ(と)/ひゃうふつ(と)
問6 ア 平家 イ 源氏
問7 義経の、舞っている男を射よという命令。
問8 舞を舞っている男を射たことに対して、あまりに心ないことをしたと批判している。
問9 ア エ
「扇の的」現代語訳(全訳)
・色背景は対句表現
・太字太字は係り結び(係助詞と結びの語)
ころは二月十八日の 酉(とり)の刻ばかりのことなるに、
(時は二月十八日、午後六時ごろのことであったが、)
をりふし北風激しくて、
(おりから北風が激しく吹いて、)
磯打つ波も高かりけり。
(岸を打つ波も高かった。)
舟は、揺り上げ揺りすゑ漂へば、
(舟は、揺り上げられ揺り落とされ上下に漂っているので、)
扇もくしに定まらずひらめいたり。
(竿頭の扇もそれにつれて揺れ動き、しばらくも静止していない。)
沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
(沖には平家が、海上一面に舟を並べて見物している。)
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
(陸では源氏が、馬のくつわを連ねてこれを見守っている。)
いづれもいづれも晴れならずといふことぞなき。
(どちらを見ても、まことに晴れがましい情景である。)
与一目をふさいで、「南無八幡大菩薩、
(与一は目を閉じて、「南無八幡大菩薩、)
我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、
(我が故郷の神々の、日光の権現、宇都宮大明神、那須の湯泉大明神、)
願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。
(願わくは、あの扇の真ん中を射させたまえ。)
これを射損ずるものならば、
(これを射損じれば、)
弓切り折り自害して、
(弓を折り、腹をかき切って、)
人に二度 面を 向かふべからず。
(再び人にまみえる心はありませぬ。)
いま一度 本国へ 迎へんとおぼしめさば、
(いま一度本国へ帰そうとおぼしめされるならば、)
この矢はづさせたまふな。」
(この矢を外させたもうな。」)
と心のうちに祈念して、
(と念じながら、)
目を見開いたれば、
(目をかっと開いて見ると、)
風も少し吹き弱り、
(うれしや風も少しおさまり、)
扇も 射よげにぞなつたりける。
(的の扇も静まって射やすくなっていた。)
与一、かぶらを取つてつがひ、
(与一は、かぶら矢を取ってつがえ、)
よつぴいてひやうど放つ。
(十分に引き絞ってひょうと放った。)
小兵といふぢやう、十二束三伏、弓は強し、
(小兵とはいいながら、矢は十二束三伏で、弓は強い、)
浦響くほど長鳴りして、
(かぶら矢は、浦一帯に鳴り響くほど長いうなりを立てて、)
あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、
(あやまたず扇の要から一寸ほど離れたところを、)
ひいふつとぞ射切つたる。
(ひいふっと射切った。)
かぶらは海へ入りければ、
(かぶら矢は飛んで海へ落ち、)
扇は空へぞ上がりける。
(扇は空へと舞い上がった。)
しばしは虚空にひらめきけるが、
(しばしの間空に舞っていたが、)
春風に一もみ二もみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。
(春風に一もみ二もみもまれて、海へさっと散り落ちた。)
夕日のかかやいたるに、
(夕日に輝く白い波の上に、)
みな紅の扇の日出だしたるが、
(金の日輪を描いた真っ赤な扇が)
白波の上に漂ひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、
(白い波の上に漂って、浮きつ沈みつ揺れているのを、)
沖には平家、ふなばたをたたいて感じたり、
(沖では平家が、ふなばたをたたいて感嘆し、)
陸には源氏、えびらをたたいてどよめきけり。
(陸では源氏が、えびらをたたいてはやしたてた。)
あまりのおもしろさに、
(あまりのおもしろさに、)
感に堪へざるにやとおぼしくて、舟のうちより、
(感に堪えなかったのであろう、舟の中から、)
年五十ばかりなる男の、
(年のころ五十歳ばかり(の男で)、)
黒革をどしの 鎧着て、白柄の長刀持つたるが、
(黒革おどしの鎧を着、白柄の長刀を持った男が、)
扇立てたりける所に立つて舞ひしめたり。
(扇の立ててあった所に立って舞を舞った。)
伊勢三郎義盛、与一が後ろへ歩ませ寄つて、
(伊勢三郎義盛が、那須与一の後ろへ馬を歩ませてきて、)
「御定ぞ、つかまつれ。」と言ひければ、
(「御定(義経様のご命令)であるぞ、射よ。」と命じたので、)
今度は中差取つてうちくはせ、
(今度は中差を取ってしっかりと弓につがえ、)
よつぴいて、しや頚の骨をひやうふつと射て、
(十分に引き絞って、男の頚の骨をひょうふっと射て、)
舟底へ逆さまに射倒す。
(舟底へ真っ逆さまに射倒した。)
平家の方には音もせず、
(平家方は静まり返って音もしない、)
源氏の方にはまたえびらをたたいてどよめきけり。
(源氏方は今度もえびらをたたいてどっと歓声を揚げた。)
「あ、射たり。」
(「ああ、よく射た。」)
と言ふ人もあり、また、
(と言う人もあり、また、)
「情けなし。」と言ふ者もあり。
(「心ないことを。」と言う者もあった。)
※教科書改訂により、現代語の説明部分などが若干変わったり、もちろん教科書会社によって違っていたりしますので、あくまで勉強する上での参考として活用してください。
「平家物語」の漢字の読み方に関しては、ほぼフリガナをつけてくれているので教科書にて確認してください。
中2『平家物語(扇の的)』テスト対策 まとめ
今回は『平家物語』の「冒頭部分」と「扇の的」の過去問を紹介しました。
【過去問の活用法】
・効率よくテスト勉強を進めるために、事前に見て「覚えておくべきポイントはどこなのか」を抑える。
・最終チェックとして取り組む。
過去問を解いたからといって、完全に同じ問題が出題されるわけではありません。
過去問はあくまでテスト勉強の効率化や仕上げに活用するようにしてくださいね。
古文の定期テスト勉強法は基本的に、
教科書の本文と現代語訳、作者、授業ノートを丸暗記するだけです!
過去問だけでなく、仕上げには教科書準拠のワークなども活用してください。
古文をしっかり学びたい方は出口先生の参考書がおススメです。