社会が苦手な人は、覚えることをあきらめている子や、面倒くさがって覚えようとしない子が多いです。
そんな子に「あきらめないで!」「そんなにたくさん覚えなくても大丈夫だよ」と声をかけてあげたいです。
この記事はこんな疑問・悩みをお持ちの方へ向けて書いています。
公立高校入試における社会科は、他教科と比べて平均点が高い傾向があり、しっかり得点を稼いでおきたいところ。
苦手な人も足を引っ張らない程度に得点しておきたいです。
例えば、兵庫県の公立高入試「社会」の平均点は、
平成31年度入試:62.8 平成30年度入試:62.3
両年ともに5教科の中で最も平均点が高い結果となっています。
(ちなみに平均点が最も低い理科は43.4点です-平成31年度-)
中学校の社会はご存知の通り、「地理」「歴史」「公民」の3分野を学びます。
配点比率はほぼ均等な都道府県が多いですが、
兵庫県の場合は意外なことに平均点が最も低いのは「歴史」で、
「地理」「公民」は比較的正答率は高いです。
これは暗記しておかねばならない知識量の差、出題傾向、学習する時期などが理由なのですが、
ここに「入試問題を解くために地理に暗記が必要か」という問いに対する答えが隠されています
結論から言うと、「暗記は最小限でよい」です。
では、入試問題を例にお答えしていきます。
・芦屋市で26年間、小中学生を対象の学習塾で文系科目を中心に指導
・中・高「社会」の第1種教員免許取得
・専門性を生かし、成績を上げるための方法や通信教育などの紹介記事多数執筆中
もくじ
公立高校入試「地理」は最低限の知識で解ける
令和2年の兵庫県公立高校「社会」の入試問題を例に説明します。
暗記より記憶+思考力
こちらの問題を見てください。
(1)は日本の地球上の正反対の位置(裏側)を答えさせる問題。
サバンナ八木さんの「ブラジルの人、聞こえますか?」というギャグで答えられます!
というのは冗談で、実際日本の裏側はブラジルじゃないですしね。
この問題で暗記しておくことってありますか?暗記レベルではないですよね。
知識として知っておかねばならないことは、「赤道」と「本初子午線」くらいでしょうか。
日本の正反対の位置ということは、 地球は丸いから経度で180度反対のところで、 赤道をはさんで対称の位置
と考えられれば答え(D)を出すことができます。
「赤道」と「本初子午線」を知っていれば「経線・緯線は15度間隔でえがかれている」と注があるので確実に答えられますが、
ぶっちゃけ「地球は丸い」という常識から少し思考するだけで答えを出せます。
(2)の問いは次のように書かれています。
「図2のa~cは、図1のア~ウのいずれかの都市の1月、7月の気温と降水量を示している。 a~cが示している都市として適切なものを、ア~ウから1つずつ選んで、その符号を書きなさい。」
一見難しそうで、面倒くさそうですが、これも「赤道の位置」と「北半球・南半球は季節が逆」ということさえ知っていれば答えを出すことができます。
(解答は、「aア bウ cイ」です。)
暗記による知識を求めているのではなく、記憶に残っている授業の内容(教科書内容)をもとに考え、判断できる力を試す問題です。
知識ゼロでも解ける
では、次の問題はどうでしょうか。
兵庫県では毎年同じ傾向の問題が出題されています。
問題文を抜粋します。
表3,図3から,あとのX,Yが説明している国を選んで、それぞれ国名を書きなさい。
X 1990年と2016年を比較して、総発電量は増加しているが二酸化炭素排出量は減少している。 2016年の再生可能エネルギーによる発電量は、同じ州の国より多い。
この問題で必要な知識はあるのでしょうか?
問題文の条件通りに資料を丁寧に見て答えを出していきます。
>1990年と1996年を比較して、総発電量は増加しているが ⇒すべて増加しています。
>二酸化炭素排出量は減少している。 ⇒ドイツとイギリス(「同じ州」の知識も不要。
>2016年の再生可能エネルギーによる発電量は、同じ州の国より多い。 ⇒ドイツ
知識が全くなくても答えを出せます。
では、「Y」のほうはどうでしょうか。
Y 1990年と2016年を比較して、総発電量,二酸化炭素排出量ともに増加している国の中で、 2016年の再生可能エネルギーによる発電量の総発電量に占める割合は、2番目に多い。
面倒くさそうです。
>1990年と2016年を比較して、総発電量,二酸化炭素排出量ともに増加している国 ⇒「X」問題の反対なので、中国・アメリカ・インド・日本
>2016年の再生可能エネルギーによる発電量の総発電量に占める割合は、2番目 計算の必要はありません。
表3に割合が載っていますので2番目を見るだけ⇒インド
この問題も知識はまったく必要ありません。
知識+思考力・判断力問題もあります
このままでは知識ゼロで終わってしまいそうです(^^;
次の問題はどうでしょうか。
画像の字が小さいので問題文を抜粋しますね(^^;。
(3)図7は、県別の農業産出額に占める米,野菜,果実,畜産等の割合を示している。図7の①~③は、図5のX~Zのいずれかの県である。①~③にあたる県として適切なものをX~Zからそれぞれ1つ選んで、その符号を書きなさい。
この問題では、
X・Y・Zが何県かということと各県の農業の特徴を知っておかねばなりません。
そのうえで、グラフをしっかり読み取る必要があります。
なので、
知識にプラスして思考力・判断力が問われているわけです。
ちなみに(4)は工業について同様の観点からの出題です。
難問ではないのですが、基礎力がないと農産物の割合を見ても判断ができないので、地理が苦手な子には難しい問題といえますね。
とはいえ、
求められている知識のレベル(暗記レベル)は教科省レベルの基礎的なものです。
なので、
地理が苦手なお子さんでもほんの少しの努力で確実に得点力アップできますよ!
基礎力がない人・地理が苦手な人は次のステップで入試にのぞみましょう。
・中3の夏休みから冬休みまでにまとめ問題集などを活用して知識の整理をする。 ・冬休みから入試までの間に、グラフや表を読み取る問題練習と過去問題で実践力をみがく。
前述のとおり、
求められている知識量のハードルは低いので、要点だけまとめて勉強できる程度の問題集で十分ですよ。
地理が苦手な人へ:おすすめ問題集&教材
苦手な人向けの問題集を2冊紹介します。
「中間・期末のテスト前に仕上げるワーク」
定期テスト対策に使える問題集ですが、公立高校入試対策としても十分使えます。
教科書のまとめなので、基本的なことしか載っていません。
見やすさ、使いやすさもよく、苦手な分野もすっきり覚えられますよ。
中学 マンガと地図で100%丸暗記 白地図&用語
ぱっと見た感じこんなに覚えなくちゃいけないの?と思ってしまうのですが、1ページで書き込む内容は基礎的なものだけです。
使い方としては、「1日2ページする。⇒翌日、前日の2ページ復習+2ページ」のくり返しで無理なく覚えられます。
オンライン教材すらら
新型コロナウイルスの影響で、オンライン授業がよく取り上げられていますが、オンライン授業のパイオニア的存在が「すらら」です。
2020年春から待望の社会と理科も受講できるようになりました。
数あるタブレット教材やオンライン教材との違いは、ストーリー形式の授業になっている点です。要するに、暗記の無理強いがないんです。
詳しくは👇こちらでも取り上げていますので参考にしてください。
まとめ
いかがでしたか?
「地理って覚えていないことが多すぎて無理だ。」
「地理は覚えることが多すぎて面倒で嫌だ。」
と思っている子がめっちゃ多いと思うんですが、
その先入観をまず捨てることから始めてもらいたいかなって思います。
一見難しそうに見える入試問題も、実は知識よりも思考力や判断力を問うものが増えているので、
基礎の基礎レベルの知識を身につけていれば(たとえ完ぺきに覚えきれていなくても)、
じっくり考えたらできるじゃん!って問題がほとんどです。
だから、覚える量も少しハードルをさげて取り組めば、
30~40点しか取れない人でも60点前後、
60点前後しか取れない人も80点くらい十分目指せます!
まずは苦手意識をすてて一歩踏み出してみましょう♪
応援しています!