みなさん、こんにちは。
芦屋市で塾講師歴26年のかつっぺです。

兵庫県公立高校一般入試の「複数志願」について、以前の記事で概要を解説しました。

が、概要だけでは合否決定の流れが分かりにくい面がありましたので、本記事で画像を交えて説明を補足します。

上の記事でおさらいしていただいた後に、本記事に目を通していただくと、複数志願の実態「応募倍率と実質倍率の違い」と加算点が大きく影響する「合否の流れ」をつかむことができます。

本記事自体は3分もあれば読めますので、是非最後まで目を通してください。

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応募倍率と実質倍率とは

そもそも倍率とは、「〇人のうち1人合格する」という意味ですね。

例えば、倍率が2倍というのは「2人のうち1人が合格」ということです。

では、応募倍率と実質倍率の違いは何でしょうか。

  • 応募倍率=出願した人の数÷募集定員
  • 実質倍率=受験した人の数÷合格者数(募集定員)

ちなみに、兵庫県公立高校入試の場合、合格者数=募集定員です。

第3学区(明石・加印・北播)の実例

私には二人の子供がおりますので、塾講師であることを生かし、子供が受験する第3学区の模試会社等のデーターを集めまくりました。

我が子のこととなるとそりゃ必至です(^^;

そこで加古川東高校(以下東高)と加古川西高校(以下西高)の2019年度入試結果を例に説明します。

加古川東高校の2019年応募倍率と実質倍率

2019年度入試 加古川東高校
定員280名 志望者数377名
応募倍率 1.35倍
実質倍率 1.35倍

加古川東高校は第3学区のトップ校なので、ここを第二志願で出願する人はいません。

よって、学力検査日に病気などによる欠席者がいない限り、応募倍率=実質倍率となります。

また、全員が第一志望のため、加算点は関係ありません。

加古川東高校が不合格だった人の第二志願先は?

兵庫県教育委員会は、第二志願受験者を含めた実質倍率は公表していません。

が、各模試会社は追跡データーを模試参加塾から収集・蓄積しており、おおよその実質倍率を把握しています。
[注]ここからはあくまで目安と思っておいてください。実数とは若干異なる場合があります。

  • 不合格者97名のうち、約51%が加古川西高校に第二志願で合格
  • 同じく約8%が東播磨高校、約36%が明石北高校に第二志願で出願し合格。
  • 残りの約5%は第二志願でも不合格だったか、第二志願を出願せずに併願受験の私立高校へ進学(したと思われる)。

東高を不合格だった97名中の約51%が西高の合否判定に回されることになります。

加古川西高校の2019年応募倍率と実質倍率


加古川西高校への第二志願者数195人(教育委員会より合否発表後の数か月後に公表)

この中で、実際に複数志願で加古川西高校の合否に関係したのは、

加古川東高校を不合格になった97人のうち加古川西高校を第二志願出願していた約51%。

すなわち、実質倍率は約1.31倍 になります。

2019年度入試 加古川西高校
定員246名 第一志望者数274名
応募倍率 1.10倍
実質倍率 1.31倍

つまり、公表されている第一志願者数を見ると不合格者は28名だけに見えますが、

実際は、東高の不合格者が西高へ流れてくるので実質倍率はぐっと高くなります。

他学区でも同様の現象となります。

加古川西高校の合否判定は?ボーダー付近の得点の一例

[加古川西高校合格のボーダーライン]
合格率60%=367点/500点満点(兵庫進学模試調べ)+加算点⇒392点

合否判定は、第一志願・第二志願の受験生を得点順に並べます。

ボーダーが392点だった場合は下図のような感じ。

東高が不合格だったAさんDさんは、東高に合格するには内申点が低すぎです。

が、学力検査でそこそこ得点できたので、加算点なしで西高に滑りこみ合格。

東高が不合格だったGさんは、西高は第二志願のため加算点がありません。
西高を第一志願としていれば加算点25点が加わり、合計415点で余裕の合格でしたね。

西高を第一志願としていたBさんCさんEさん加算点の25点のおかげで無事に合格

一方、西高を第一志願としていたFさんは、東高が不合格だったAさんとDさんが第二志願で西高に合格となったため、押し出されて不合格となってしまいました。同じ憂き目にあった人が50名弱もいるのが現実。

加古川西高校が不合格だった人の第二志願先は?

[注]ここも目安と思っておいてください。実数とは若干異なる場合があります。

  • 不合格者70数名のうち、約75%が東播磨高校に第二志願で合格
  • 同じく約25%が加古川北高校に第二志願で出願し合格。

北高より下の学校への出願はほぼゼロです。

そして、3番手校の東播磨高校へは、加古川東高校と加古川西高の不合格者60数名が第二志願で流れていくことになります。

以下、この繰り返しです。

複数志願の実質倍率:まとめ


2番手校以下は「応募倍率<実質倍率」です。

複数志願なので言うまでもないことです。

加算点も侮れません。

なので、

  • 新聞やネットで公表された応募倍率をみて一喜(一憂)しても無駄。
  • 実態をしっかり把握して、上位校から流れてくる人がいても押し出されないように、学力検査の当日までしっかり勉強しておくことが大切。
  • 第一志望の「加算点=ボーナス点」が合否を左右することがある。

最後に一言。

ボーダーライン付近の人は過去のデーターから(進学塾ならデーターがあります)慎重に第一志願校を選択をしてください。

Gさんのように、第一志願も第二志願も不合格という結果もあり得るからです。

塾の中には、実績を求めるためにチャレンジ受験させるところもあります。

しっかり実態を把握してお子さんにとってベストな志望校選択をしていただきたいです。

とはいえ、どうしても自分が行きたいという学校ならチャレンジしてください。応援しています!